窓のない窓際
「あ、あのっ……。
宮本(ミヤモト)くん……」
突然名前を呼ばれた。
俺は顔を上げて、今まで携帯に向けていた視線を声のした方へ移す。
「……?
えーと……鈴村?」
「あ、うん!そう!鈴村」
たしか……こいつは鈴村香奈とかいう……クラスメート、だった気がする。
「どうした?
俺に何か用?」
とりあえず、優しく笑ってみせる。
「あ、あ、あの……。
ちょっと、いいかな……?
話が、あるの」
真っ赤に変色したその顔見りゃ、どんな話かなんてすーぐ分かるですけど。
それに、遠くから面白そうにこっち見てる女子がチラホラ。
うん。
あれもよく分かる。
女子特有の、あれ。
どーせ「香奈、頑張れ!」「香奈なら大丈夫!」とかなんとか言ってんだろーな。
別に話さなくても分かんだよ。
告白したいんだろ、俺に。