窓のない窓際
黙って窓の外に目を凝らしている水上。
あまりに真っ直ぐ景色を見ているその目には、まるで俺なんか映っていない。
水上は無表情に、ただただ遠い目をしながら外の景色を見つめている。
見つめてるっつーか……睨んでる、の方が正しいかも。
あのー……そんなに俺のこと嫌いなわけ?
「何見てんの?」
「……」
……シカト。
「空見てんの?」
「……」
またシカト。
「空、めちゃくちゃ曇ってね?
今日から新学期なのに、こんなんじゃテンション下がるよな」
「……」
またまたシカト。
「あ、鳥」
横に長い長方形の窓。
右から左に飛んでいった鳥を見てそう呟いた瞬間、水上が急に俺の方を向いた。