窓のない窓際
 
水上は泣きながら笹岡に抱きついている。


……ていうか!


「いい加減にしろよ!
俺、何もしてねーし!」

「じゃあどうして梨華が泣いてるわけ!?」

「知らねーよ!
こっちが聞きてえくらいだっての!」


廊下側の自分の席に座って楽しそうにこっちを見ている寿也の姿が目に入った。


俺が救援を目で訴えれば、笑顔で手をヒラヒラ振りながら口パクでこう言った。


「どんまい」


無意識に拳を握ってしまった。


ムカつく!!!!!


あの笑顔が更にウザい!


「行こ、梨華」


俺が寿也に気を取られていると、笹岡が水上の腕を引っ張って教室を出て行った。


そして教室に残された俺は、クラス中の視線によって串刺し。


「あ……あははは」


もう、笑うしかねーじゃん。


水上梨華……。


めちゃくちゃ手ごわいじゃねーか……。


 
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