窓のない窓際

えくぼ

 
「……で、何ソレ」

「ん?
見て分かんねーかな!
ネックレスだよ、ネックレス!」

「綺麗に包装されてる箱の中身なんて分かるかよ」


登校中、寿也に綺麗にラッピングされた小さな箱を見せる。


「俺、ひらめいたんだよね~。
女ってプレゼントに弱いじゃん?
ということで!
昨日買って来ちゃいました~」

「つまりモノで釣ろうってわけか。
汚ねー」


俺は寿也の手から箱を取り返してバッグにしまった。


「汚くねーよ。
れっきとしたアピール方法の1つなんですぅ~!」

「あっそーですかー。
エビでタイを釣るってこのことだな」


昨日、よく行くアクセサリーの店でネックレスを買った。


シルバーを基調とした、ハート型のルビーがキラリと揺れるシンプルで可愛いデザインのやつ。


絶対あいつに似合うと思う。


絶対気に入るはず。


「わ~、センスいいね!
ありがとう!
大好きっ!」


……って言われるはず。


女なんて、ちょっとなんか高いもんプレゼントしてやればコロッと落ちるもんなんだよな。

 
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