窓のない窓際
 
……でも、甘かった。


「いらない」

「……え?」


水上は俺が差し出した箱に触れるどころか見向きもしなかった。


「え、何で……」

「ネックレスなんていらないの」

「待てよ。
俺、水上に似合うと思ってせっかく買ったんだけど?」

「いらないって言ったらいらない!」


そう言って、またいつものようにツンと窓の方に顔を背けてしまう。


俺は箱の包みを丁寧に剥がして、ネックレスを取り出した。


窓から差し込む太陽の光を受けて、ルビーで出来たハートが眩しく輝く。


「これ、なんだけど。
どう?
気に入らない?」


水上はチラッとネックレスに目を向けた。


 
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