窓のない窓際
「トシく~ん……」
「はいはい。
みーくん、お疲れ様」
すり寄る俺の頭を寿也が撫でる。
撫でるっていうか、ガシガシこすってる。
「いやー……さすが水上、瑞希をこんなに手こずらせるなんて。
やっぱり簡単には釣れねーな。
まあ、予想通りって言えば予想通りだったけど」
受け取ってもらえなかったネックレスをいじりながら、寿也がケケっと笑った。
「笑うなバカ」
俺は頭を抱えてため息をついた。
あの後、チラッとネックレスに目を向けた水上が言った一言。
「何、それ?」
俺が20分もかけて選んだネックレスを「何、それ?」の一言で片付けたアイツ……。
つーかこれ、3万だぞ3万!
変な虚しさが胸の奥を吹き抜けていく。