窓のない窓際
寿也が目を丸くする。
「おい、寿也お前何ボケっとしてんだよ!
早く行こーぜ」
「いや、行くってお前……。
どこ行く気?」
「はあ!?
学校に決まってんだろ」
次の日の朝、俺は腕に花束を抱えていた。
「瑞希、聞きたいことあるんだけど」
「んだよ」
「その花どーしたの?」
俺は名前も知らないピンク色の花をいじりながら口を開く。
「どーしたのって……言わなくても分かれよ。
プレゼントに決まってるじゃん」
「まさか……水上に?」
「?
他に誰がいんだよ」
キョトンとする俺を見て、寿也は突然笑いだした。
「マジかよ!
お前今までそこまでしたことなかったじゃねえか!
どーしたわけ?
まさか本気なの?」
「バーカ。
んなわけねーだろ。
ただ、アイツ落とさないと俺の気が収まんねえだけ!」
そんな風に反論したら寿也はますます大笑いした。