窓のない窓際
 
寿也が目を丸くする。


「おい、寿也お前何ボケっとしてんだよ!
早く行こーぜ」

「いや、行くってお前……。
どこ行く気?」

「はあ!?
学校に決まってんだろ」


次の日の朝、俺は腕に花束を抱えていた。


「瑞希、聞きたいことあるんだけど」

「んだよ」

「その花どーしたの?」


俺は名前も知らないピンク色の花をいじりながら口を開く。


「どーしたのって……言わなくても分かれよ。
プレゼントに決まってるじゃん」

「まさか……水上に?」

「?
他に誰がいんだよ」


キョトンとする俺を見て、寿也は突然笑いだした。


「マジかよ!
お前今までそこまでしたことなかったじゃねえか!
どーしたわけ?
まさか本気なの?」

「バーカ。
んなわけねーだろ。
ただ、アイツ落とさないと俺の気が収まんねえだけ!」


そんな風に反論したら寿也はますます大笑いした。


 
< 51 / 165 >

この作品をシェア

pagetop