窓のない窓際
「ほらっ!」
「……?」
俺は花束を水上の胸に押し付けた。
「……何これ?」
「花!」
いくら俺がにっこり笑っても、笑顔は一切返ってこない。
それどころか、どんどん眉間にしわが寄っていく。
水上は腕の中に無理やり押し込められた花束を、じっとり睨むように見つめた。
「あの……。
もう私に近付かないで欲しいんだけど……」
そう言いながら、水上は机の上にゆっくり花束を置く。
負けねー。
「あー……。
もしかして花キライだった?」
全く引かない俺に呆れたのか、水上は気だるそうにため息をついた。