窓のない窓際
 
水上が言った花の名前を、自分の口で繰り返す。


「タンポポ……」


水上は俺に言った。


「一番好きなお花はタンポポ」って。


俺は意味が分からなかった。


だってタンポポってあれだろ?


道端にいっぱい咲いてる、あの黄色い雑草だろ?


バラよりあんな雑草がいいなんて……。


俺には心底理解不能。



 
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