窓のない窓際
 
タンポポの模様があしらわれた、シンプルで小さなオルゴール。


俺は裏に付いていたぜんまいを回した。


ぜんまいから指を離した瞬間、俺を包み込む音色。


「……これだ」


箱の中からゆったりと流れ出すメロディー。


俺はその音に夢中で聴き入った。


穏やかで優しいリズム。


柔らかくて温かい音色。


初めて聴いた曲だ……。


なんていう曲……?


心に溶けていくようなこの曲。


すげー……いい曲。


すげーな……この曲。


心に深く染みていく音が気持ちいい……。


不思議な気分……。


 
< 61 / 165 >

この作品をシェア

pagetop