窓のない窓際
オルゴールに触れながら「素敵、素敵」って呟いてるこいつが可愛い。
「あ、あとこれも」
俺は水上の小さい手に一輪の花を握らせた。
手が触れ合った瞬間、ピクッと硬直するこいつが本当に可愛い。
「え……?
これ、何……?」
水上は目を丸くする。
「え?
タンポポだけど……?」
水上の手に握られた小さい黄色の花。
タンポポだよな、これ。
も、もしかしてこれタンポポじゃなかったのか!?
タンポポもどき的な!?
「水上、それ……!」
俺が慌てて口を開いたと同時に、水上が小さく吹き出した。