窓のない窓際
 
「あははっ!
本当にタンポポ摘んできてくれたの?」


体中の血液が逆流した。


熱い血液が勢い良く体中を駆け巡る。


はっきり聞こえる鼓動。


珍しく俺の心臓が忙しく働いている。


……水上が、笑った。


びっくりした。


この世にこんな綺麗な笑顔があったなんて。


目を細める。


眩しい。


……太陽?


いや、違う。


眩しさの原因は、窓から差し込んでる日差しのせいなんかじゃない。


眩しいのは、明るい日差しに照らされたこいつの笑顔……。


おい、どうしたんだよ、俺。


女の笑った顔なんて、今まで散々見てきただろ?


何で今さら……?


何で今さら、こんなに熱くなってんの……?


 
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