窓のない窓際
 
あ。


水上って笑うとほっぺにえくぼでるんだな……。


可愛い。


水上はタンポポにそっと鼻を近付ける。


「ふふ、焦らなくても大丈夫だよ。
これ、ちゃんとタンポポだから」


水上はそう言うと、俺を見て再び笑い出す。


「な!
い、いつまで笑ってんだよ!」

「だって……うふふ。
本当に摘んできてくれるなんて思わなかったから……。
それに高校生の男の子がタンポポ摘んでる姿を想像したら、何だか面白くって……」


水上が笑いを堪えている姿を見て、再び俺の心臓は忙しく脈打ち始めた。


 
< 70 / 165 >

この作品をシェア

pagetop