窓のない窓際
あ。
水上って笑うとほっぺにえくぼでるんだな……。
可愛い。
水上はタンポポにそっと鼻を近付ける。
「ふふ、焦らなくても大丈夫だよ。
これ、ちゃんとタンポポだから」
水上はそう言うと、俺を見て再び笑い出す。
「な!
い、いつまで笑ってんだよ!」
「だって……うふふ。
本当に摘んできてくれるなんて思わなかったから……。
それに高校生の男の子がタンポポ摘んでる姿を想像したら、何だか面白くって……」
水上が笑いを堪えている姿を見て、再び俺の心臓は忙しく脈打ち始めた。