窓のない窓際
 
「はよー水上!」

「宮本、くん……?
今日も元気だね。
おはよう」

「おう!
あ、はい、これやる」

「えー、今日も摘んできてくれたのー?」


タンポポを渡すと……ほら、笑った。


「あはは、毎日ありがと」


この笑顔がたまらなく可愛い。


この笑顔を見ると、一瞬日常の嫌なこと全部忘れる。


笑った時に出るえくぼ、たまらなく可愛い。


「水上の笑顔、めちゃくちゃ可愛い」


思わず呟く。


返答はない。


でも、満足だった。


だって、水上が耳まで真っ赤にして俯いたから。


 
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