窓のない窓際
「……遅い」
寿也がギロっと俺を睨んだ。
……けど、今はそれどころじゃない!
「トシくーんっ!」
俺は寿也に勢い良く抱き付いた。
「聞いてくれよトシくぅーん!(のび太風)
ウザい女がいるよー!」
「ウザいのはテメェだよ瑞希くーん(ドラえもん風)」
寿也は心底迷惑そうに顔をしかめながら、体から俺を引き離そうとする。
「あの女が邪魔で水上と帰り損ねたよーぅ!
タイムマシン出してよー!
あの女が産まれる前の時代に戻って、アイツの父親と母親が出会うのを阻止してやりたいよーぅ」
「うわ、めんどくさ。
んなことしないで1時間前に戻って一緒に帰る約束すればいいじゃん」
「あッ、なるほど!
さすが寿くんっ!」
「いや、納得されても……。
肝心なタイムマシンないし」
「え!?」
「え!?じゃねーよ。
タイムマシンなんてあるかバカ」