窓のない窓際
「“来ない”にジュース1本」
寿也が俺を哀れみの目で見る。
「うっせーよ!
水上は来る!
絶対来る!
なんなら“来る”にジュース20本賭けてやるよ!」
放課後、いつものように寿也と帰宅。
話題はもちろん例の日曜日の話。
「いや、普通に考えて来るわけねーだろ」
「なんでそう言い切れるんだよ!
水上は絶対来る!
約束したし!」
「約束ってお前……あれ一方的に押し付けただけだろ」
寿也が呆れたと言わんばかりにため息をついた。
「ていうか、水上には彼氏いるじゃん。
なのに他の男とデートすると思うか?」
「する!」
「それはお前の場合だろ」
寿也は噛んでいたガムを包み紙にくるんで近くのゴミ箱に放った。
「まあ、月曜日ジュース楽しみにしてるわ」
「黙れ。
おごるのはお前だ」