機動装甲Ⅲ
メカニックは私の言い分を渋々了承。

早速コクピット周りの脱出装置の取り外し作業にかかった。

「そうまでして倒したい男かね…帝真紅郎は」

床に下りた私に対し、レイカーが呟く。

「ええ」

振り向く事なく私は返事した。

「あいつはラルフの仇よ…必ずこの手で討つわ」

「いや…」

背後でほくそ笑む気配があった。

「君は討てんよ。あの男はな」

「……」

立ち止まり、振り返って鋭い視線をレイカーに突き刺す。

…彼は涼しげに笑みを浮かべたままだった。

「私の力量が足りないという事?」

「いや。腕前は申し分ない。私が言うのは心構えの問題だ」

レイカーは私の機体に視線をやる。

「己を追い詰めてまで復讐に専念する。覚悟の程を見せ付けるようではあるが…逆に言えば、そうまでせねば心に迷いが生じる、そういう事ではないか?」

「理屈っぽいのね、『暁の死神』は」

私は再び背中を向けて歩き出す。

「自室で休息をとるわ。グリフォンが接触してきたら知らせて」

「…承知した」

AMハンガーへと戻るレイカーを尻目に、私は居住区へと戻っていった。

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