機動装甲Ⅲ
その時になって気づいた。

真紅郎は始めから、回避する気などなかった。

コクピット、そして貫かれて爆発を起こす箇所。

その二箇所だけ守れれば、貫かれる事は構わなかったのだ。

そしてわざと貫かせ、私の機体の動きが止まった瞬間に。

「きゃあぁぁあぁぁっ!」

こうして両断するつもりだったのだ。

左肩部から右腹部にかけて、コテツブレードが袈裟懸けに斬る。

アサルトカスタムは電気系統のパーツをショートさせながら、ソルジャーから離れていく。

「く…」

私はコクピットの中で顔を歪めた。

流石真紅郎ね。

この機体の性能差を覆して、勝ちを手にするなんて。

「まいったなぁ…」

一人、呟いてみる。

私は全力で戦った。

でも負けた。

仕方ない。

「ごめんねラルフ…今からそっちに逝くわ」






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