機動装甲Ⅲ
「お披露目といこうか、帝真紅郎」

レイカーが言う。

「私の愛機、CAM-002 シグムンドだ」

「シグムンド…!?」

北欧神話に登場する英雄の名。

その名を冠するレイカーの機体は、その圧倒的なまでの威圧感のせいか、通常サイズのAM以上に巨大に見えた。

「レイカー!」

茜が叫ぶ。

「貴方、私に生き恥を晒せって言うの!?」

「…女性が死ぬところは見たくない」

あくまでニュートラルに。

何の他意も含めずに、レイカーは言った。

「もう敵討ちは十分だろう。君は復讐に生きるべき人間ではない。だから生き永らえさせた。だが」

レイカーの機体…シグムンドが、手にした火器を俺のソルジャーに向ける。

「情けをかけるのは一度きりだ。今後私の前に現れるようなら、次は容赦なく葬る」



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