機動装甲Ⅲ
FINAL PHASE

真紅郎

グリフォンは警戒を厳にしつつ、何とか帝重工の宇宙ドックに到着した。

宇宙ドックで補給、資材と新型機の搬入をしている間は半舷休息。

その間に、俺と茜は艦長室に出頭していた。

「白金茜」

椅子に座ったまま、宗方艦長は茜を見る。

その顔に、いつもの好々爺の表情はない。

艦の全責任を預かる艦長としての、国連軍極東方面支部中佐としての厳しい表情がそこにはあった。

「本艦への戦闘行為、背反行為、コンロット社への接触。これらは全て軍内では軍法会議ものの罰則だ。その事に異議は?」

「ありません」

やや俯き加減のまま、茜は答える。

その声に覇気はない。

愛する恋人の仇の為に、俺に銃口を向けた。

その事に後悔はないのだろう。

そしてその行為の後、彼女は自ら命を絶つつもりでいたに違いない。

しかし、現実はこうして生き永らえてしまった。

彼女の心境も、わからなくはなかった。

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