機動装甲Ⅲ
「Mk―Ⅱが使えない?」

AMハンガー。

固定された俺の愛機、ソルジャーMk―Ⅱの前で、マッカートニーは厳しい現実を告げる。

「宇宙(そら)に上がる前に白金から受けた攻撃で損傷したMk―Ⅱのスラスターと可変翼な…思ったよりも修理に時間がかかりそうなんだ。機体そのものは動くが、スラスターがまともに使えねぇんじゃ、宙間戦闘ははっきり言って無理だ」

ならばもしグリフォンが襲撃された時にはどうすればいいのか。

確かにグリフォンは単艦でも戦闘は可能だが、AM相手に苦戦は免れない。

過去の戦争でも、巨大な戦艦は航空機の攻撃に対処できずに轟沈したという事例は枚挙に暇がない。

「Mk―Ⅱの代わりに、グリフォン艦載機のソルジャーを準備してある」

マッカートニーはMk―Ⅱの隣に固定してある、モスグリーンのソルジャーを指差した。

AM-001 ソルジャー。

どこの軍隊にも配備してある、珍しくもないAM。

当然、ソルジャーMk―Ⅱの足元にも及ばないお粗末な機体性能だ。

「量産機か…」

こんな機体では茜のソルジャーカスタムにすら劣る。

ましてや、俺は彼女がコンロット社の新型機に乗り換えているなどとは知る由もなかった。

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