【長編】ホタルの住む森
空を燃やすような茜色の朝が、金色に染まっていく。
眩しさに軽く眉を潜め一瞬瞳を閉じてから細く開く。
振り返ると真っ先に飛び込んできたのは、晃の嬉しそうな笑顔。
茜、おはよう・・・そういって私を抱き寄せ、目覚めのキスをねだる。
晃の体温がじかに触れて、そのぬくもりに安堵の溜息がもれる。
両手の指を絡めシーツに縫いとめられると、晃の重みを感じながら、ゆっくりとその身を委ねる。
やさしいキスが降ってくる。
瞳が絡み合い、晃が朝の日差しの様に笑うと、私の耳元に唇を寄せていった。
「やっと結婚式を迎えられるんだね。僕の奥さん」
クスクスと嬉しそうに笑いキスの雨を降らせる。
「随分と待たせてごめんね」
私はあの日のことを思い出して微笑んだ。
そう、あれはちょうどこんな風に窓から差し込む朝日がまぶしい6月の朝。
プロポーズを受けた翌朝、晃は目覚めたばかりの私を抱きしめて爆弾発言をした。