【長編】ホタルの住む森
「僕の誕生日に結婚式をしよう」
――戸惑う私の首筋にキスの雨が降る。
「6月の花嫁は幸せなれるんだってね」
――指がゆるやかな曲線を描いて私の体を滑る。わずかな抵抗も奪われてしまう。
「だめだなんて、言わせないよ」
―――重なる甘い唇は私の思考を狂わせる。そんな笑顔で宣言しないで。
「愛しているよ。茜…」
ずるいよ…。ウンって頷きそうになってしまうもの。
…でもね やっぱり…ダメだよ…。
だって、あなたの誕生日はあさってでしょう?