【長編】ホタルの住む森
困ったような茜の唇にそっと人差し指を乗せ、言葉を封じる。
「だったら今ここで神さまにどれだけ茜を愛しているか見せ付けてやるよ」
自分でも大胆な事を言っていると思う。
だけど、暴走した想いはもう止まる事を許さない。
「でも…」と抗議する茜の唇を塞ぎ、「神さまにヤキモチをやかせておけばいいさ」と、更に深く唇を求めた。
―― ひと際明るい閃光が二人を包んで、次の瞬間どこかで落雷の音が聞こえた。
「あかね…あかね…愛しているよ」
茜にだけ聞こえる声で何度も囁く。
吹き込む雨露が霧のように二人に降りかかる。
「君に…永遠の…愛を…誓う…よ」