【長編】ホタルの住む森
もう一つの幸せ Side茜
晃に私の誕生日に結婚式をする事を同意させるのは大変だった。
12月までなんて待てないというのがその理由。
私だってそんなに離れて暮らすつもりはさらさら無いんだけれど…。
だから6月28日晃の誕生日に私たちは籍をいれた。
梅雨の晴れ間とでも言うのか、とても青空の綺麗な日だった。
その日ひとつがいのツバメが新居の軒先に巣を作ったことが、私たちに幸福を運んできてくれたようで、とても嬉しかった。
晃は私に指輪を贈ってくれた。
紅いルビーに小さなダイヤをあしらった可愛いデザインのファッションリング。
それは小さな石だったけれど学生の晃にとってはとても大変だったと思う。
「どうしてルビーなの?」と聞いたら「茜の色だから」と、あなたは照れたように笑って指にはめてくれた。