【長編】ホタルの住む森
「晃、私は簡単に死なない。
最初から出産に耐えられないなんて決め付けないで。
私は生きるの。3人で生きていきたいのよ」
茜は力強く、真っ直ぐな瞳で未来を見つめている。
あの日ホタルの小道を照らした儚い光よりも、それは儚い望みなのかもしれない。
でも、確かにある希望だ。
僕たちはそれに賭けてみよう。
「わかったよ茜、僕の負けだ。
賭けてみよう。僕たちの3人の未来に…。
未来を受け継ぐ子を、産んでくれるかい?
…僕たちのために」
ゆっくりと抱きしめ、やわらかいキスを交わす。
『この子はあなたを幸せに導いてくれる天使なのよ』
茜を抱きしめ、その言葉に願いをかける。