【長編】ホタルの住む森
【SS】約束のくちづけ
4月6日午前5時43分
茜は鮮やかに染まる空へと旅立った
まるで眠るように目を閉じる君はとても幸せそうに微笑んでいる
乱れた髪をそっと整え、まだ温かさの残る額にそっと口付けを落とす
君は幸せだったんだね
輝かんばかりの美しさを放って、二度と覚めない眠りにつく君は女神のように神々しい。
子どもを産む事をあれだけ反対した僕だけど、微笑んで眠る君はこれで良かったと言ってくれている
子どもを抱けなかったのは、ただ一つの心残りだっただろう。
僕はまだ暖かさの残る茜の胸に小さな命をそっとのせ、抱くように腕を添えてやると、小さな命は少し身動きした後、微笑んで安心したように眠りについた。
とたんに愛しさが溢れ出し、暖かいものが頬を伝った