【長編】ホタルの住む森
茜、君と生きた時間は短かったけれど
その時間はとても緩やかで
その毎日はとても穏やかで
その一瞬はいつも輝いていたよ
…僕は、とても、幸せだった
微笑む茜の頬に触れる
目じり残った最後の涙の欠片が滑り落ち、僕の指を濡らした。
…君も僕と同じ気持だったと思ってもいいのかな?
僕は小さな命を抱き上げ、そっと胸に抱きとめた。
茜の左手を取り、そこに光る鮮やかな赤い宝石(いし)に唇を落とす。