【長編】ホタルの住む森
暁をからかうように漂うホタルの光を見つめながら、その光を伸ばした両手で掴もうとする暁が微笑ましい。
暁には茜の姿が見えているのかもしれない。
君はいつか言ったよね。
『私の全てをかけてあなたたちを護る。きっと晃の傍に還って来る』…と。
僕はあの言葉を信じているよ。
君はいつか必ず僕の元へ還って来る。
それがどんな小さな魂であっても僕にはきっと君がわかると思うよ。
このホタルの中のどれか1つが君の魂でも僕にはきっとそのひとつがわかるはずだから。