【長編】ホタルの住む森
茜……
またホタルの季節が巡ってきたよ。
淡い光に願いをかけよう。
いつかきっと君が僕の元へ還って来るようにと…
儚い灯に愛を伝えよう
いつまでも君の魂を愛し続けると…
何度でも、このホタルの小道で君に誓うよ。
何度でも、この場所で君に愛を告げるよ。
「必ず幸せにするから…何度でも巡り逢って結婚しよう。」
抱きしめる暁の温もりが僕は独りじゃないと教えてくれる。
僕らを包むホタルの光が心に呼びかけてくるのを確かに感じた。
――二人をいつだって愛しているわ――
「茜…僕たちも君を愛しているよ」
小さく呟いたその瞬間
ホタルたちが光り輝き一斉に飛び散って舞い踊った
++ ホタルの舞う夜 Fin ++