【長編】ホタルの住む森
【短】七夕の夜空に
Side 晃
昼間降った雨が嘘のように晴れ上がり、夕方から雲が切れはじめた今夜は、七夕に相応しく天の川が見事に輝いている。
君が逝ってから天の川がこんなにも綺麗に見える七夕は初めてかもしれない。
ふとそんなことを思いながら、今日のこの空を幼い頃にも見た記憶があると思い出す。
ああ、そうだ。
初めて幼い君と出逢った日も七夕だった。
紫陽花の花の陰で雨に濡れていた君は僕と約束をしたね。
『僕が病気を治すまで決して死なない』…と。
幼い僕たちの約束を星はちゃんと覚えていて僕らを運命の元に導いてくれた。
だけど、僕は君の病気を治す事も、君に幸せな時間を充分に与える事も出来なかった。