【長編】ホタルの住む森
「ねぇ?あきらくんは、おかあさんに会いたくない?
織姫と彦星は一年に一度だけあの星の川を渡って会えるんだって。
あきらくんとおかあさんは会えないのかな?」
自分の心を読まれたような暁の思わぬ言葉に胸が熱くなり、そっと抱き寄せる。
フワリと笑った暁のその表情(かお)は…
茜…君の微笑と同じだったよ。
七夕は君に会いたいと願う僕の願いを、暁の中に君を見ることで叶えてくれたのかもしれないね。
流星群の活動する時期には窓に張り付いて何時間も離れなかった茜。
その姿が今日の暁と重なって、切ない思い出が鮮やかに蘇ってくる。
暁の中に君の面影を見つけるとき僕は思うんだ。
君の願いは叶ったのかもしれないって。