【長編】ホタルの住む森
君が生まれた朝を僕は忘れない
空が燃えるような茜色に染まって、世界が命に溢れる中
君は僕の最愛の女性の命を受け継いだ
まるで君の誕生を待ちかねたように染まる空
雲の隙間から伸びる光の筋が茜が天に還る為の道のようで苦しくて…
僕は小さな君に救いを求め抱きしめた
君の小さく、それでも確かにリズムを打つ鼓動が僕をどれだけ救ってくれただろう
僕を信じ全てを預けて眠る君
柔らかく瞳を閉じて口元に天使の微笑を浮かべる君。
小さな寝息を立てる大きな命がとても愛しくて、この頼りない確かな存在を確かめるように抱きしめる
君が永遠に天使の祝福を受けますようにと
君の人生が幸せなものでありますようにと
僕の想いの全てを祈りに込めて…