【長編】ホタルの住む森

お弁当を食べながら、暁に君と動物園に来た時の話をしてあげたよ。

君の話をする時は、自分でも不思議だけど小声になってしまうんだ。

大切な宝箱を開けるみたいに、そっと話を取り出して、誰にも聞こえない様に暁にだけ話すんだ。

それは思い出という大切な宝物。

人に話すと、なんだかちっぽけになってしまいそうで、怖くて…。

だから話す時は、やっぱり二人だけが聞こえるほうがいいなって思うんだ。

なんだか子どもみたいだね。

君の話をしたあとに、暁は僕に耳打ちしたんだよ

「晃くん、僕、お母さんがもっと好きになったよ」って。


茜 

君の息子はとっても綺麗な心を持って、真っ直ぐに育ってくれているよ。


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