【長編】ホタルの住む森
星も月もない夜
森の中で見つけた小さな光
ひと時燃え尽きるように闇に溶けては
命の存在を知らしめるかのように、再び光を放つ
今にも森に消え入りそうな弱々しい命は
明日をも知れない私の人生と重なった
命の限りを燃やして舞う、哀しいくらい幻想的な風景
その中に在るのは
儚く短い人生
脆く不安定な心
そして…
静かに消えては再び寄り添う二つの光
命の限り求め合う心は、ゆっくりと近づき、躊躇うように離れてゆく
やがてそれは一つに重なり、ひと際眩しく瞬いた
愛し合う輝きを、闇に奪われまいとするように
共に生きる幸せを、永遠に封印するように