【長編】ホタルの住む森

「だめ。だめだよ。
そんなの晃が辛すぎるでしょう?」


「茜が望むなら、いつだって一緒に逝くよ。
だから別れようなんて言うな」


晃は本気で言っている。

でも、それは出来ない。

晃には晃の未来があるのに…。


心の奥に閉まった思いに小さな亀裂が入る。


どうして…どうしてみんな私の為に自分を犠牲にするの?


亀裂が少しずつ広がり心の奥に固めた何かを暴いていく。


ずっと封印していた思い。


けっして口に出さなかった思い



「最後の瞬間(とき)まで君は僕と一緒にいるんだ」



晃の言葉に認めたくなかった心の叫びが…その鎧を砕いた。




「―――やめて!」







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