【長編】ホタルの住む森
何度も深く唇を奪われ、息も出来ないほどに強く抱きしめられる。
意識が遠のきかけた時、ようやく晃が私から唇を離した。
怒りを帯びた低い低い声が胸に突き刺さった。
低く冷たく哀しい…
こんな晃の声を私は知らない。
「ふざけるなよ。
誰かの庇護が無いと生きていけないだと?
茜がいなくなったらどれだけの人が悲しむか考えた事があるのか?
みんな茜を愛しているから護りたいんだろう?
君の亡くなった両親も、君を愛していたから護りたかったんだ。
沙紗も、蒼も。君に傍にいて欲しいんだ。
…だから君を護りたいんだ」
私は晃の瞳の中に万感の想いを見た。
強く強く抱きしめられる。
痛いほどに…
切ないほどに…
どこへも逝くなと訴えるように…