【長編】ホタルの住む森
病室でゆっくりと身を起こすした少女に、母親が話し掛けた。
「あの男の子、今日診て下さった先生の息子さんだったんですって」
ああそうか・・・。
だから「お父さんがいつも言ってる」って言ったんだ…。と、まだ寝起きでぼんやりとしながらも思い出した。
彼は私の病気を治してくれると約束した。
私のために医者になると言ってくれた。
だったら私は生きなくちゃいけない。
彼が大人になって、私を治してくれる日まで、生きていなくちゃいけない。
彼は約束してくれたのだから…。
きっとこの病から私を救ってくれると…。