世界でふたりだけの…
そうして、雑貨などがあるフロアから見ることに。
「お、これなんかいいかも。澪はどう思う?」
家具屋の前を通過中、いきなり優羅が立ち止まった。
いかにもレストランにありそうな、先が3つに分かれている燭台を手に持っている。
「どうして燭台なの・・・?」
銀色の高級そうなそれは細かくて綺麗な細工がしてあり、蝋燭がなくても置物として使えそう。
「ほら、雰囲気作り?」
あえて“何の?”と聞くのは止めておく。
結果、その燭台は一応リストに載せることになった。
これは優羅のセンスなのか・・・いささか疑問が浮かんだ。
「ね、これは?」
私が選んだのは雑貨屋で見つけたペアのマグカップ。
べたと言われればそこまでだけど、悪いとは思わない。
可愛い四葉のクローバーが手書きしてある。
「おお、女の子らしいね。じゃあこれもリストに載せよう。」
こんな感じで店内をざっと見回った。
途中、昼食を食べながらリストを整理する。
さすがに時間がかかり、気がついたら夕方の6時を回っていた。
「うわ、もうこんな時間か。澪、最終決断だ。どっちにする?」
最期に残った2つのうち、どちらかを選ぶことに。
私の選択に、優羅は笑いながら承諾してくれた。
私の頭を優しく撫でながら。
「ただいまー。」
私と優羅が家に帰ってきてから、約1時間後に母と優さんが帰ってきた。
2人はお土産に温泉卵と温泉饅頭を買ってきてくれた。
この親あればこの子あり・・・。
「あら、どうして電気消してあるの?」
母の言う通り、キッチンの電気は点いていない。
もちろん、意味があってのこと。
「電気点けてみて。」
優羅がにっこり笑って促す。
言われたままに母は電気をつけた。
「うわぁ・・・!」
優さんと母の声が重なった。
キッチンの机にはフルーツいっぱいのケーキ。
クリームに乗ったチョコプレートには『祝 結婚記念日』と書かれている。