世界でふたりだけの…
終章

私はいつでも冷静沈着だと思ってた。
でも今は違う。
どんなことも受け入れて素直に感じ、自分なりに考えて行動する。
まだまだうまくいかないことは沢山あるけど。


「澪さ、最近変わったよね。」

いつもの昼休み。
今日も雪、紫乃、琉美と一緒に屋上で昼食を食べている。

「だって澪、恋しちゃったんだもーん!」

紫乃が大きい声で叫んだ。

「紫乃!」

私は慌てて紫乃の口を押さえた。
でも時既に遅し。

「えー!?澪が恋!?初耳だよー!」

雪が信じられないという顔で、私を見つめた。
琉美も一緒に“うそー!”と叫んでいる。

「私が紹介したお店の店長!たった2回行っただけなのに!しかも、どうやら向こうも満更じゃないみたいでさ。私狙ってたのに、澪に取られちゃったー。」

泣き真似をしながら言う紫乃に、私は顔を真っ赤にした。

「ちょっと、澪―。抜けがけはないんじゃないのー?」

琉美がひじで小突いてくる。
私は弁明しようと必死になっていた。

深翠さんとのことを紫乃に話したのが間違いだった・・・。
今日の朝、“昨日どうだったの!?”としつこく聞かれ、仕方なく話したけど、ここまで言う必要はなかったかも。
少しだけ後悔。

「ちょっと澪!紹介しなさいよ!澪に相応しいかどうか、私達が判断してあげるから!」

雪が私の弁明を聞かずに言ってくる。
私に相応しい人は深翠さんしかいないんじゃ・・・なんて思ったり。

「そうだ!澪がお店手伝うことになったらしいから、みんなで行こうよ!」

紫乃の提案に2人は何の躊躇もなく、“行く!”と叫ぶ。
しばらくはこの話題でからかわれそうだ・・・。



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