眠り姫が醒める時
そしてあたし達は町から遠く離れた、ある山に来た。
崖の多いことで有名な山。
死のうと思ってたなんて…言うまでもない。
「落ちるのって…怖いかもな…」
『あたしは怖くないよ…』
不思議そうにあたしの顔を覗き込んだ。
「何で?」
『恭が一緒なら。どこまででもいける…』
あたし達は最後の刻を大切に過ごした。
そして、獣の影も見えなくなった頃。
あたし達は手をつなぎ。
深い深い崖へと落ちていった。