鳥啼くいろは歌
序幕
姉を怨んだ事なんて小さい時だけだった。
ただ単純にお菓子を沢山貰えたり、親から優しくしてもらったり。
でも、当時のわたしには凄く悲しくて、悔しくて泣きながら指を咥えて見ているだけ。
わたしは隠し子とされ、世間を見ずに、人を見ずに生きる。
それが普通だと思い、慣れてきて当たり前だと錯覚してきた矢先だった。
白い肌、生気が抜けている表情、黒い髪。
わたしが見ているのはもう一人のわたしと言ってもいいくらいに、瓜二つ。
わたしの人生に転機がきた。
ありがとう。感謝しているよ。
それより先に零れた感情とは―――。