お隣さんの恋愛事情
「俺のこと覚えてる?」
目をギョロギョロさせて、キラキラ輝くように見つめて聞いてくる。
「あぁ~、顔はちょっとだけ…」
「俺、淳!前に間違って恭子ちゃんちに入っちゃった正人の友達!てゆーか親友!」
うわー…いるいる、こういう意味なくテンション高い人。学校とかだとクラスに一人はいるタイプだよ。ぶっちゃけ苦手なんだけど…。
ん?
さっき正人のバカタレが何か重要なこと言った気がするんだけど。
はて。何だったっけ。
「恭子ちゃん!!!」
「はい?!」
いきなり両手を握られ、かなりの至近距離で見つめあってしまった。
……あぁ!
この前の牛の目みたいな人か!今思い出した!名付けて牛くん!
「…って、ちょ、近くないです?」
「恭子ちゃん!!好きだ!!!」
「…」
「…」
ちょっとここで整理しよう。
今目の前にいるのは、正人の親友(たぶんこの人が思い込んでるだけ)で、名前は牛くんで、その人は私の手を握って「好きだ」と言った。
ちなみに、今この場に恭子ちゃんという名前は私しかいない。