お隣さんの恋愛事情



「ちょっと待ってね?」



とりあえず牛くんとの至近距離は耐えられない訳で、正人の腕を引っ張り少し距離を置いた。



「牛くんは、私を好きだと言っているのですか?」



「間違いなくお前が好きだとよ。」



「何故に?」



「一目惚れだってさ。世の中わかんねぇな。こんな近くに物好きがいるとは。」



「喧嘩売ってんの?」


「喧嘩買ってんの。」




またまた腹わた煮えくり返ったけれど、今はそれどころじゃない。
正直タイプではない牛くんに「好きだ」と言われても、嬉しいどころか悲しい訳で(失礼)、今にも取って食われそうな勢いの牛くんの目は、もはや恐怖を覚える。



ここはハッキリ言わねば!こういうタイプって絶対しつこいんだよね!




「あの~牛くん。」



「やだなぁ恭子ちゃん!俺の名前は淳だよ!あ、もしかして牛みたいに可愛いとか?!やっべ、超嬉しいんだけど!!!」



「いやいや、そうでなくて…」



「今すぐ返事はいいから!まだ会うの2回目だしさ!ゆっくりじっくり考えて!」



「ちょっと、」



あぁ~素敵な勘違い。
しかもスキップなんかしちゃって正人連れてエレベーター乗っちゃったし。



どうするよ私…。




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