お隣さんの恋愛事情
「落ち込むのはわかるけど、それは自分の部屋でやって。てゆーか出てきて、そこから。」
急にドアが開いて後ろから声がした。
そうだ、謝らなくちゃ。てゆーか片付けないと…
「…って、へ?」
「何?」
「いや、私さっきここにゲロゲロ~って…」
「もう片付けたし。いつまでもあのままにしとく訳にいかないでしょ。」
「…あのっ!本当にごめんなさい!!!何てゆーか私…」
「もういいよ。とりあえずこっち来て。」
イケメン男が、ちょっとだけ優しく笑った気がした。
てっきりまた睨まれるか、すぐに追い出されるだろうと思っていた私には予想外。
しかもリビングに入って手招きまでしてるし。
頭が痛いこともあって、何が何だかよくわからない私は、素直に彼に従った。
リビングに通され、黒い2人掛けのソファーに座らせられると、目の前にあるテーブルに、牛乳の良い匂いが漂うマグカップが置かれた。湯気が暖かくて、マグカップが暖かくて、さっきまで暗かった気分が少し明るくなった。
一口すすって、年寄りみたいに「はぁ~」って言うと、イケメン男は笑ってテーブルのそばに座った。彼の手に持たれたマグカップからは、コーヒーの良い匂いがした。