お隣さんの恋愛事情
腹を抱えて笑うイケメンは、隅に置かれた小さな可愛いピンクの手鏡を私に差し出した。
不愉快ながらもその鏡を受け取り、自分の顔をまじまじと見る。
「パンダ…」
「でしょ?!パンダでしょ?!ウケる~!」
「さっき洗面所で見たから知ってますけど!」
そりゃ私の顔は、しいて言うなら中の上(あくまで自称)だけど。そんなに笑われるほどおかしいか?!
ムッとした気分で鏡を押しつけると、イケメン男は今度はごみ箱を漁りだした。
「確かこの中に……あったあった!」
ごみ箱から何を取り出すかと思えば、コットンの化粧落とし。
一瞬私は疑った。
まさかこの男、キラキラオーラ全開のイケメンのくせに、そういう趣味があるのかと。
「あ、別に俺、女装趣味とか化粧とかするわけじゃないからね?そこわかってね?」
エスパーか?
私の考えてることを読みやがったな。
コイツ、ただ者ではない。
「何か一人言多いみたいだけど大丈夫?笑」
「え!声に出てた?!」
「何て言ってっかはわかんなかったけど、ブツブツ言ってんのはわかった。笑」
なんだ、エスパーじゃないのか。ちょっとだけ期待したのに。
とりあえず化粧落としを受け取り、洗面所へ向かった。