お隣さんの恋愛事情
やっぱカップのやつがいいよね。バニラかチョコか。鼻水をズルズルすすりながら、悩みに悩んで、結局チョコにした。
カゴに入れて、ポカリも買っておこうと、ジュースが置いてある場所へ来た時だった。
「ひどいじゃない!今日うちに来るって言ったのに!!」
一瞬、耳を疑った。
だって、今ジュースが置いてあるとこには、どう考えてもサラリーマンとしか思えない男の人と私だけしかいない。
私はチラッと横目で見る。さっきのオネェ言葉はこの人ではないと信じて…
「だから言ったじゃない!だから嫌なのよ!!」
信じた私がバカでした。
呆然と見つめていると、手に持っていたポカリをうっかり下に落としてしまった。
しかも足の上。
「い゛っだぁぁぁぁ~!!!」
大袈裟って思うでしょ?!
でもね、指先に落ちるってかなり痛いんだよ!
指先を蚊に刺されると、必要以上に痒くなるのと同じなんだよ!
持っていたカゴを投げ捨て、親指を押さえながら、まるでコントのように飛びはねながら回転する私。
ちょうど一周回ったところで、すっかりうっかり忘れていた人物と目が合ってしまった。
足を抱えて一旦停止状態の私って、レレレのオジサンみたいだったと思う。
だけど、目が合って、その人の顔を見た瞬間、回転する体だけじゃなく、思考回路さえも停止した。