お隣さんの恋愛事情
「……あ…あはは…こんばんは…」
たぶんものすごく顔が引きつってたと思う。
だってね?
どっからどう見ても超がつくくらいのエリートサラリーマンがよ?
オネェ言葉使うとかね?
しかもお隣さんだったとはね?
「……マンションまで…一緒に帰りませんか…?」
とりあえず言ってみた。何て言っていいのかわかんなくて、とりあえず言ってみた。
「あのっ!私風邪ひいててっ、何かフラフラするから一緒に帰って頂けたら嬉しいなぁ……なんちゃって…」
「…」
「…そですよねっ、嫌ですよねっ…」
だって私女だし…たぶん彼は、そっち系だと思うし。
精一杯笑ってその場を立ち去ろうとした時。
「嫌とかじゃなくて!」
「へっ?」
「…いや、その…」
「?」
「…とりあえずここ出ましょうか?」
彼の一言をキッカケに、私たちはレジへ向かった。
先ほどシロップタイプの薬はないかと聞いた店員がレジを打っていて、何か微妙に見られてる気はするけど、今の私にはそんなの気にもならない。
それより、私の後ろでレジの順番を待つエリート男のほうが気になって仕方なかった。