お隣さんの恋愛事情



恥ずかしい思いでパソコンと向き合い、毎日変わらないキーボードを叩き続ける作業に没頭。

課の皆には笑われるし(いつものことっちゃいつものことだけど)、昨日は変な夢見るし、遅刻で給料減るし、渡された今日の分の資料は多いし、何か今日はついてない。



しかもオデコ痒いし。
ムヒ欲しいなぁなんてキョロキョロしていたら、パソコン越しに目が合った、中山次郎(26)が呆れた顔でムヒをコソッと貸してくれた。

有り難くそのムヒをオデコにぬっていると、液体だったために、垂れて目に入った。



「い゛ったぁぁぁぁぁ!!!!!」



両手で目を押さえ、一人のたうち回っていると、今度は何事かと室内が静かになり、一瞬皆の視線を感じたが、私を見るなり無言で作業に戻り始める。
課長さえもシカト。


いつものことながら、ちょっとだけ寂しさを感じていれば、ムヒを貸してくれた中山さんと目があった。口パクで「大丈夫?」と言ってくれているのがわかる。

それが何だか嬉しくて、ピースしながら思いっきり笑った。



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