お隣さんの恋愛事情
お隣さんの正人が私の名前を呼んだ瞬間、正人の腕をしっかりガッチリ掴んでいたジャイ子に睨まれた。
何で私が睨まれなきゃいけないのだろうと、内心イラッとしながら正人を睨むと、これまた今まで見たこともないような満面の笑みで私を見ている。
と、同時に目と口で何かを訴えている様子。
「きき、恭子!ごめん!俺マジ今から心入れ替えるし、もう合コンなんて行かないから許して!」
「…は?」
意味がわからずキョドっていると、口パクで「合わせて」と言っているのがわかる。
ん?待てよ…。
まさかコイツ、口パクで合わせてとか言いながら、後から、「実は、さっき言ったこと本当だから…付き合って?」とか言うつもり?!
ありえるよ!
昔見た少女漫画であったしね!
「ん~もう、正人ったら!次はないからねっ☆」
遠回しでしか告白できないシャイボーイには、これくらい言ってあげなきゃね☆
ジャイ子とは反対側の正人の腕をガッチリ掴むと、ちょいと睨みを聞かせて立ち上がった。
その後、大将の驚くような顔を横目に、軽くウインクなんかしちゃって、口パクで「勘定つけといて」なんて言いながら店を後にした。